Cloudflare 無料枠の落とし穴と課金開始日
一言まとめ
無料枠は「リクエスト数」より「1 リクエストあたりの密度」で先に詰まる。R2 マルチパートのクラス A、Workers の CPU 10ms、D1 のフルスキャンが三大要注意。「無料だったもの」が後から課金された前例もある。
Cloudflare Workers はサーバー側のコード実行基盤、R2 はファイルを置くオブジェクトストレージ、D1 は SQLite ベースのデータベースサービス。
数値は 2026-04-17 時点。クォータの一覧は クォータ早見 にある。
密度で枯れる罠
| 罠 | 何が起きるか |
|---|---|
| R2 マルチパートのクラス A 爆発 | 5GiB 超のアップロードはマルチパート必須で、各パートが 1 クラス A 操作。10GB を 10MB パートで分割すると約 1,002 操作 / ファイル。大ファイルだけで月 100 万のクラス A 枠を食い潰しうる |
| Workers CPU 10ms | リクエスト数が余っていても CPU 時間で詰まる。CPU タイムと Walltime(IO 待ち)は別物。複雑計算・画像処理・大きな JSON 解析で超過する |
| D1 フルテーブルスキャン | 行読取はスキャンした行数で課金される。インデックス未設計のフルスキャンは 500 万 / 日をすぐ消費する。性能と制限消費が直結する |
| KV の結果整合 + 1 書込 / 秒 | リアルタイムカウンタには不適。書込直後の読取が古い値を返しうる。強整合は Durable Objects(無料は SQLite)へ |
| Pages ビルド 500 回 / 月 | 帯域は無制限だが、PR ごとにビルドするとすぐ上限。プレビューのスキップなどの最適化が要る |
| Workers 無料のサブリクエスト上限 | 外部 50・CF 内 1,000 のまま(有料は撤廃済み)。Fan-out 並列フェッチや多数の R2 操作が構造的に制約される |
| Queues 24 時間保持 | コンシューマーが 24 時間以上止まると未処理メッセージが消える。DLQ 設計が重要 |
| Bot Fight Mode の回避不可 | WAF カスタムルールの Skip で回避できず、決済サービス等の特定 IP を許可リスト化できない。回避は無効化か Pro 以上の Super Bot Fight Mode へ |
「無料だったもの」が課金開始した履歴
無料で始まった機能が後から従量課金に転じた前例。新機能を $0 前提で組むときは、代替手段を用意しておく。
| 日付 | できごと |
|---|---|
| 2025-04-21 | Workers Logs が課金開始(無料は 200,000 / 日・保持 3 日) |
| 2025-09-15 | Workers Workflows のストレージが課金開始。同日 Mirage 廃止(製品停止。設定 API の sunset は別日程) |
| 2025-11-01 | Stream Media Transformations(5,000 変換 / 月)が課金開始 |
| 2026-02-11 | 有料のサブリクエスト上限撤廃。無料は据え置き(実質、無料との差が拡大) |
課金ではないが「無料の挙動が締まった」変更も同じ扱いで追う。
| 日付 | できごと |
|---|---|
| 2024-08-05 | Auto Minify 廃止。ビルド時ミニファイへ移行 |
| 2025-02-10 | D1 の無料枠制限が強制適用に(以前は超過しても動くケースがあった) |
| 2025-07-03 | Email Routing で SPF か DKIM 認証のない受信メールは転送されなくなった |
無料プランで使えない・代替が要る設定
数値は 2026-04-17 時点。設定の可否一覧は ゾーン設定早見 にある。
| 罠 | 中身 | 代替 |
|---|---|---|
| Transform Rules / WAF の正規表現 | 正規表現マッチは Business 以上。無料は固定文字列 | 複数ルールに分ける(各 10 / 5 ルールの枠内) |
| WAF の Log アクション | 無料は Block・Managed Challenge など。観察目的の Log は使えない | Security Events で結果を見る |
| Edge Cache TTL の最短 2 時間 | 無料は 2 時間が下限(Pro 1 時間、Enterprise 1 秒) | Cache-Control をオリジンで出し、Browser Cache TTL を Respect Existing Headers にする |
| Purge by Tag / Host / Prefix | Enterprise のみ。無料は Everything と URL 指定 | URL 単位でパージする(キャッシュ差し替え) |
| Custom Error Pages | Pro 以上。無料は既定のチャレンジ・ブロックページ | Workers で独自エラーページを返す |
| Polish / Image Resizing | Polish は Pro 以上、Image Resizing は有料アドオン | ビルド時に最適化(Squoosh 等)。Images の変換 5,000 / 月 |
| Argo Smart Routing | 有料($5 / 月 + $0.10 / GB)。WebSockets と非互換 | Tiered Cache(Smart Topology は無料) |
| Zone Lockdown / DNS record tags | Pro 以上 | WAF カスタムルール / DNS record comments |
| HSTS preload | 無料で設定できるが、preload 登録後の解除が困難 | includeSubDomains と preload は慎重に |
| Email Routing の NDR | 配信失敗の非配信報告が送信者に届かない。厳格な DMARC(Reject)との競合で転送が弾かれる場合がある | 重要な受信は別経路も持つ |
規約: 非 HTML コンテンツの CDN 配信
旧 ToS §2.8「Limitation on Serving Non-HTML Content」は 2023-05-16 に撤廃され、サービス固有条件の CDN 専用セクションに置き換わった。
- R2・Stream・Images など Cloudflare のサービスでホストした動画・大容量ファイルの CDN 配信は許容される。
- Cloudflare 外(自前 VPS など)でホストしたコンテンツを CDN 経由で大量配信するのは引き続き約款違反。
- ベンチマーク制限条項も同時に撤廃された。
請求より「止まる」が怖い
支払い方法未登録の純粋な無料アカウントでは、超過時にエラーを返す設計なので「気づかぬ高額請求」は構造的に起きにくい。怖いのは上限に当たって機能が止まることで、請求ではない。ただし有料プラン併用・決済手段登録済みだと一部製品は超過課金される。
関連
更新履歴
- 2026-10-08: Labs の調査資料(2026-04-17 調査)から Wiki に移行。
- 2026-10-17: ローカル調査ノート(2026-04-17 調査)から、無料で使えない設定の表・非課金の締まり履歴・ToS §2.8 撤廃の節を追加。冒頭に定義を追加
出典
- https://developers.cloudflare.com/workers/observability/logs/workers-logs/
- https://developers.cloudflare.com/workflows/
- https://developers.cloudflare.com/stream/
- https://developers.cloudflare.com/workers/platform/pricing/
- https://developers.cloudflare.com/cache/plans/
- https://developers.cloudflare.com/rules/custom-errors/
- https://developers.cloudflare.com/email-routing/postmaster/
- https://blog.cloudflare.com/updated-tos/