アモリム時代の幕開け

ミランは変われるか — 25/26崩壊から26/27再建へ

Seu (c12o) · 2026-06-20

PART 01

事件編

崩壊と、5月の大粛清。

25/26:崩壊の決算

5位セリエA 最終順位
70勝点(20勝10分8敗)
1点CL圏(4位)との差
53総得点
2勝最後の8試合
1–2最終節カリアリ戦

最終節の自滅で、CL圏をコモに1点差で手放した。

5月25日:1日で4人が消えた

声明は "unequivocal failure"(疑いようのない失敗)。

切られた

  • アッレグリ(監督)
  • フルラーニ(CEO)
  • タレ(SD)
  • モンカダ(TD)

残った

  • カルディナーレ(オーナー)
  • スカローニ(会長)
  • イブラヒモビッチ(顧問)
  • カルベッリ(暫定CEO)

残契約の補償で、解任コストは約2,200万ユーロに上ると報じられた。

刷新を支えた財務

監督と幹部をまとめて切れたのは、クラブの財務に余裕があったからだ。

€1.2B2022 買収評価額
€494.5M24/25 収益(過去最高)
3年連続黒字

2026-01-30 にエリオット債務を借換え、RedBird の単独支配に移行していた。

アッレグリは「敵」へ

解任されたアッレグリは、コンテの後任として ナポリへ(2年契約と報道)。

前年王者の指揮官として、同じセリエA で古巣と相対することになる。 報道

PART 02

監督探しの20日間

空席から就任まで、本命は二転三転した。

タイムライン

  • 5月末イラオラに接触 → 断られる
  • 6月上旬グラスナーが本命(2年€4〜5Mで合意間近と報道)
  • 6月中旬ラングニック破談(全権要求 × イブラ反対)
  • 6月中旬アモリムとの直接交渉が報じられる
  • 6月16日アモリム就任を公式発表

確定は両端(5/25 空席・6/16 就任)。途中は報道ベース。

逃した本命たち

イラオラ

  • ボーンマス6位・ハイプレス
  • 予算規模で勝るクラブを選好
  • → リバプールへ

グラスナー

  • 同じ3-4-2-1の使い手
  • 合意間近から逆転される
  • ラングニックは全権要求で破談

EL止まりのミランは、CL出場クラブに比べ資金力・序列で見劣りし、有力監督の獲得競争で不利だった。 報道

6月16日 ── アモリム就任

6/16
就任を公式発表
契約年数は非開示(英報道3年/伊報道2+1年)
  • 役職:Head Coach of the men's First Team
  • カルディナーレ「保持で試合を支配し、現代的なプレッシングを持つ」

アモリムという指揮官

スポルティング

  • 約4年8か月の長期政権
  • 勝点90・29勝・ホーム全勝
  • リーグ優勝

マンチェスター・ユナイテッド

  • 14か月で解任(2026-01-05)
  • 勝率38.1%(24/63)
  • 解任時6位

1985年生まれの41歳。実績の振れ幅が大きい。

PART 03

戦術

3-4-2-1という「数字」の実体。

3-4-2-1は「並び」ではない

ボールを握って崩す。局面ごとに形を変える、可変の仕組みだ。

局面ごとに姿を変える

基本 3-4-2-1
保持 4-2-5(中央CBが上がる)
守備 5-4-1(WBが最終ラインへ)

3つの厳しい要求

  • 中央CBの中盤上がり — 保持でアンカー化し、前線に枚数を足す
  • WBの最前線化 — 守備は5バックの一員、攻撃は実質ウイング
  • 3CB全員にビルドアップ — 足元でプレスを外せること

生命線は、プレス下でも失わないボール保持の安定性。

アッレグリ3-5-2からの地続き

共通の骨格

  • 3バック+WB
  • 守備で5バック撤退
  • 中央が絡む「3+2」ビルドアップ

引き上げる中身

  • 守る3バック → 押し込む3バック
  • 中盤3 → 2+シャドー2
  • CBの配球強度を上げる

下地があるぶん、ゼロ導入のマンチェスター・ユナイテッドとは違う。

同じ戦術、両極の結果

スポルティング 23/24 ユナイテッド
成績 勝点90・29勝 14か月で解任
象徴 ホーム全勝 17/17 勝率 38.1%(24/63)
結末 リーグ優勝 解任時 6位

差を生んだのは、選手の適合だった。

PART 04

フィット分析

今いる選手で、機能するのか。

スカッドの全体像

23トップチーム人数
27.4歳平均年齢
€429M総市場価値

在籍・市場価値は Transfermarkt(2026-06-15 時点)。

ポジション別 適合度

ポジション 適合度 理由(解釈)
GK / 左WB / シャドー A メニャン・バルテサーギ・レオン+プリシッチ
中盤 B 枚数・質は確保、ラビオ流出は懸念
3CB / 右WB C ビルドアップ水準のばらつき・専任不足
CF D 在籍はあるがモビリティ型の9番を欠く

強みと弱み

強み

  • 左WB バルテサーギ(20歳・代表)
  • 2列目 レオン+プリシッチ
  • GK メニャン

弱み

  • 固定できる9番がいない
  • 専任の右WBが手薄
  • 3CBの配球強度

補強の焦点は CF と 専任の右WB。

放出が噂される選手

現スカッドは放出前の状態。夏に大きく動きうる。 報道

  • ラビオ → ナポリ希望(ミラン€20M要求)
  • モドリッチ → 契約延長が白紙化の観測
  • レオン → 破格オファーで売却も(不確実リスト筆頭)
  • エンクンク/ヒメネス/エストゥピニャン

PART 05

結論

マンチェスター・ユナイテッド症候群を避けられるか。

ユナイテッド失敗との違い

観点 ユナイテッド ミラン
リーグ PLで3バックは少数派 セリエは3バック多め
3バックの下地 新規導入 アッレグリで1年分
WB 不足が露呈 バルテサーギが好適合
期待値 優勝の重圧 再建で猶予あり

警告サイン

再発の兆候として、この3つを観たい。 推測

  • 不振でも3-4-2-1を一切曲げない戦術硬直
  • 序盤の連敗への修正の遅さ
  • オーナー周辺の複数決定者による路線対立

形の下地はあっても、これらが出れば空転は再来する。

26/27:3つのシナリオ

ベスト

CF補強+3CB適応 → CL圏復帰争い

▲ 上振れ

メイン

適応に時間、EL圏前後で着地

▼ 下振れ

ワースト

戦術硬直+補強不発で中位低迷

あくまで推測。確定ではない。

若手という資産

ミランの育成層は、イタリア代表の世代交代とも重なる。

  • カマルダ — 15歳260日でセリエA最年少、イタリア代表デビュー
  • バルテサーギ — 20歳でイタリア代表先発
  • リベラリ/モスコーニ/ヴラディミーロフら新世代

イタリア代表は3大会連続でW杯を逃し、若返りの只中にある。

観察ポイント

26/27 をこの4点で見ていく。

  • プレシーズンでの3-4-2-1の浸透度
  • 夏のCF補強が決まるか
  • 序盤の失点傾向と、連敗時の修正速度
  • バルテサーギら若手の起用と伸び

ミランは変われるか

崩壊→粛清→就任は事実、戦術とフィットは見立て、26/27は未確定。

形(3-4-2-1)の下地はある。問われるのは、中身を引き上げられるか。

詳細は調査資料「アモリム時代のミラン」全6ページへ。

主な出典