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02 ── 5月の大粛清

問い: 5位という決算を受けて、クラブは誰の責任を問い、誰を残したのか。 そして、なぜここまで大胆に動けたのか。残った意思決定者の顔ぶれと、それを支える財務基盤まで押さえると、 次ページの「混乱した監督探し」がなぜ起きたかが見える。

結論: 最終節の翌日 2026-05-25、ミランは監督とフロント中枢を一度に解任した。 声明は "unequivocal failure"(疑いようのない失敗)と断じ、残ったのはオーナー周辺 ── ジェリー・カルディナーレ、会長スカローニ、特別顧問イブラヒモビッチ ── だった。 RedBird 体制は3年連続黒字という財務的余裕の上にあり、刷新の決断はその基盤の上で下された。 ただし実務トップ(CEO・SD・TD)が同時に空席となった点が、その後の人事を読む鍵になる。

1日で4人が退場

人物役職
マッシミリアーノ・アッレグリ監督
ジェルリー・フルラーニCEO
イグリ・タレスポーティングディレクター(SD)
フレデリック・モンカダテクニカルディレクター(TD)

4人の解任に伴うコストは 2,000万ユーロ超と報じられた。 引き金は最終節カリアリ戦の自滅でCL圏を1点差で逃したこと、と各紙はそろえて伝えている。 実務の責任者をまとめて切る一方、資本とクラブの顔の側はそのまま残した、というのが処分の形だった。

刷新を支えた財務基盤

大胆な刷新の背景には、RedBird 体制下で立て直された財務がある。RedBird は 2022年、 クラブ評価額 €1.2B でエリオット・マネジメントからミランを取得した。 内訳はカルディナーレ側が現金 €650m を支払い、残る €550m をエリオットからの ベンダーローン(利率約7%)でまかなう形。エリオットは債権者として残っていた。

その後、ミランは黒字基調に転じる。買収前は17年間赤字が続いていたが、2022/23 以降は黒字を継続。 2024/25 は収益が過去最高の €494.5M(前年比+10%)、純利益 €3Mで、 近代では初の3年連続黒字となった。商業・スポンサー収入が€152.3Mに伸び、胸スポンサーのエミレーツ(€21m)と プーマ(€25.3m)が支えた。もっとも、収益規模ではインテル(€567M・純利€35.4M)になお見劣りする。

そして 2026-01-30、RedBird はエリオットのベンダーローンをコムベスト等の新たな機関投資家の融資へ借り換え、 エリオットの財務的関与を解消した。エリオット側のゴードン・シンガーらは取締役を退任し、RedBird は単独支配のオーナーとなった。 3年連続黒字でエリオット債務も外したという足場が、シーズン後の一斉解任を可能にしたと見られる解釈。 一方で RedBird は堅実経営で知られ、大型投資には慎重とされる ── この性格は、後の監督交渉や補強の制約に直結する。

残った意思決定者

切られたのは実務ライン。残ったのは資本とクラブ顔役の側だった。

この構造の弱点は、決定者が複数並立し意見が割れやすいこと。実際、2026年6月にはイブラヒモビッチと カルベッリの路線対立が報じられ、ウルトラスはイブラヒモビッチの続投に反発して「彼も出ていけ」と声明を出した。 報道

伏線: 実務トップ(CEO・SD・TD)が同時に空席となり、新監督の選定を 「資本側+顔役」の少人数で進める形になった。決定者が並立する構造は、次ページの監督交渉が二転三転する直接の背景になる 解釈。

実務トップ不在という宿題

粛清はフロントの再建という課題も残した。SD候補としてはマルクス・クロッシェ(フランクフルト)やデヴィン・オゼクの名が 報じられたが、2026-06-15時点でパッケージ確定には至っていない。報道

旧体制の最後の動きも記録に残る。解任前の 2026-05-08、フルラーニ・タレ・アッレグリは代理人ピニ・ザハーヴィと カーサ・ミランで会談し、フリーのレヴァンドフスキ獲得を探ったが、年俸要求が財政枠を超えて進まず、話題はアラバへ移ったと報じられた。 補強の主導権が宙に浮いたまま、体制が刷新されたことになる。報道

アッレグリの行き先

解任されたアッレグリは、アントニオ・コンテの後任として ナポリへ向かった(2年契約で合意と報道)。 前年王者の指揮官として、古巣ミランと同じセリエA で再起することになる。

出典